孝成王は、長平の戦いで趙括を白起に大敗させてしまった、趙王なのです。
老将廉頗は、闘将の王齕相手に、突破させずに粘っていました。孝成王が長平の戦いで忍耐力を発揮していれば、王齕や白起に勝利する道も、あったのではないでしょうか。
そして、馬服君趙奢が息子趙括の兵法のリスクを、孝成王に忠告していたのです。孝成王は、馬服君趙奢が見誤った、と考えていたのでしょうか。
また、大国秦の昭襄王の宰相范雎が、孝成王を心理誘導したのです。趙奢と藺相如が健在であれば、范雎の悪知恵も、効果が半減していたのではないでしょうか。
他にも、悼襄王が父親の孝成王の大失敗を挽回する戦果を、燕で得たことも説明していきます。もっと早く李牧と龐煖が趙に現れていれば、長平の戦いも違う結果になったかもしれません。
孝成王趙丹を詳しく解説していきます！
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目次
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完璧な藺相如の盟友廉頗は孝成王の大将軍として長平の戦いで善戦しました
孝成王は、王齕と戦い得る大将軍として、廉頗を長平の戦いに派遣したのです。
廉頗は当初は王齕軍にやり込められましたが、すぐに防衛を強化し、秦の疲労を増加させる作戦を展開しました。
そして王齕は後に、邯鄲包囲戦だけでなく秦に侵攻して来た時にも、戦国四君の信陵君に敗北しているのです。
王齕は、将軍としてそこまで有能ではなかったため、廉頗にも勝利するのは難しかったのでしょう。
また、長平の戦いは白起に大敗したと言えるので、白起を刺客で暗殺していれば、大敗北を防げたかもしれません。
孝成王趙丹は、藺相如と刎頸の交わりだった廉頗（れんぱ）を、長平の戦いの大将軍に任命し、廉頗は王齕（おうこつ）に持久作戦を繰り広げました。
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馬服君趙奢は妻に趙括を大将軍にしてはならないと言い含めていましたが孝成王は趙括を廉頗の後任としたのです
孝成王は、名将だった馬服君趙奢の意見に逆らって、趙括を廉頗の代わりの大将軍に指名しました。
趙奢は生前、息子の趙括と兵法の論戦をした際に、反論しないことがありましたが、趙括を認めはしなかったのです。
趙括は、三国志の街亭の戦いを登山で大失敗させた馬謖と似ていて、弁論には優れた才能を持っていたのでしょう。
弁舌に優れた武将は、一度実践で大間違いを実感してこそ、立派な大将軍になれるのではないでしょうか。
孝成王趙丹は、歴戦の猛将廉頗を更迭し、趙括（ちょうかつ）を長平の戦いの大将軍に就任させることで、馬服君趙奢（ちょうしゃ）が予言していた危険な人事を行ってしまいました。
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恵文王のために完璧だった藺相如も孝成王が趙括を大将軍にさせることに反対だったのです
孝成王が、趙括を大将軍に任命しようとした際に、昭襄王を威嚇し無事に帰還した藺相如も、承服しませんでした。
かつて藺相如は、昭襄王が和氏の璧と15の城を交換することを提案したので、秦に乗り込み王を威圧し、和氏の璧を奪われずに帰国したのです。
そして黽池の会でも、藺相如の機転と気迫で、恵文王は威信を損なわずに戻れ、廉頗よりも出世しました。
廉頗は、藺相如の大出世に不服で不満を露わにしていましたが、後に藺相如の高い志に打たれ、刎頸の交わりを結んだのです。
孝成王趙丹は、長平の戦いに趙括を大将軍として向かわせようとしたところ、黽池の会と完璧で大名声を獲得した藺相如（りんしょうじょ）からも、酷評されました。
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昭襄王の宰相范雎は勇将廉頗より趙括に秦が戦慄していると孝成王を偽ったのです
孝成王は、昭襄王や范雎が、趙括を恐れているという嘘の噂を真に受けて、名将廉頗を解任しました。
范雎は、長平の戦いで廉頗が、秦を心理的に追い詰め疲労させたので、一気に挽回する策を披露したのです。
廉頗は、強豪な王齕の秦軍相手に良策を展開していたのですが、孝成王は軍事にあまり精通していませんでした。
どうせ趙括が白起に敗北するなら、廉頗が王齕を無理に攻撃して、勝つ可能性に賭けていた方がマシだったのではないでしょうか。
孝成王趙丹は、闘将廉頗だからこそ、勇敢な王齕軍を疲弊させていることが分からず、昭襄王の宰相范雎（はんしょ）からの噂を信じ、趙括の虚名を見抜けず長平の戦いの大敗北を呼び込んだのです。
⇒王齕！秦国将軍、史実王騎王齮、白起長平の戦い、昭襄王廉頗も解説
孝成王が趙括を大将軍にしても昭襄王は油断せず王齕から神将白起に指揮官を変更し万全の備えを怠りませんでした
孝成王は、宿将廉頗を安易に更迭し、趙括を大将軍に命じましたが、敵の昭襄王はこっそり、白起を長平の戦いに向かわせたのです。
そして白起は趙括が、戦に不慣れで大軍勢を活用しようとしていることを利用し、敗北を装って退きました。
趙括は、前将軍廉頗を出し抜けるチャンスと勘違いし、突撃したところ、後方と分断され大軍が仇となってしまったのです。
趙国の皆が警告していたように、大軍勢を率いる器量が無ければ、大軍の将に就任してはいけなかったのでしょう。
孝成王趙丹は、昭襄王が神将白起（はくき）を大将軍に変更したのと反対に、趙括を百戦錬磨の廉頗の後任としたため、大軍の欠点を露呈した敗戦を被りました。
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戦国四君の平原君は平陽君と異なり韓の上党が味方となるのは利益ばかりであると孝成王に主張しました
孝成王は、平原君が上党を受け入れる方が望ましい、と力説していたこともあり、韓の上党を確保したのです。
そもそも韓は、昭侯韓武の代には、法家思想の申不害がおり、他国とも渡り合えたのですが、もはや自領だけでは、秦に対抗出来ないので、趙を巻き込みました。
そして、王齕が昭襄王の命令で、趙攻撃を実行し、上党争奪戦から秦と趙の頂上決戦に発展したのです。
また、趙が他の戦国の七雄に、秦の背後を突いてもらえれば、趙の勝利もあり得たのではないでしょうか。
孝成王趙丹は、昭襄王と戦わせたい韓の思惑よりも、上党獲得の利益が大きい、という平原君趙勝（へいげんくんちょうしょう）の献策を信じ、王齕との長平の戦いに突入しました。
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悼襄王は父親の孝成王と違い龐煖や李牧らの名将を集め趙を再興したのです
孝成王の息子の悼襄王は、宿将廉頗に匹敵する龐煖や李牧を重用し、燕を恐れさせました。
そして燕王喜は、長平の戦いで大打撃を被っただけでなく、廉頗もいなくなった趙への野心を露わにし、劇辛大将軍を出撃させたのです。
劇辛は、龐煖を熟知していると豪語していましたが、結果は龐煖の完勝に終わりました。
また李牧は、匈奴平定で凄まじい戦果を上げ、燕の城も攻略し、後には秦の強力な軍隊に幾度も勝利したのです。
孝成王趙丹の子供の悼襄王は、馬服君趙奢や完璧な藺相如や勇将廉頗に比肩する、李牧（りぼく）に燕城を占拠させ、龐煖（ほうけん）に大言壮語な劇辛（げきしん）大将軍を撃破させました。
⇒燕王喜！太子丹、刺客荊軻、中国昭王、噲、劇辛栗腹、樊於期も解説
まとめ：孝成王趙丹（こうせいおうちょうたん）と昭襄王と廉頗王齕と長平の戦い
孝成王がどのようにして、長平の戦いの大軍の生き埋めを引き起こしたかを、解説してきました。秦がもっと弱国だった時期の趙王なら、ここまでの大損害にはならなかったでしょう。
そして完璧な藺相如も、孝成王の趙括抜擢に、剣呑だったことも説明してきました。昭襄王を圧倒した藺相如も、自国の王には強く出られなかったのでしょうか。
また戦国四君の平原君が、上党確保の利の側面ばかり見ていたことも、述べてきました。都合良く考え過ぎたので、孝成王は後から災難が来たのでしょう。
孝成王趙丹は、昭襄王から上党を掠め取ったために、長平の戦いの趙括の大敗を招いた、因果応報な趙王だったのです。
